『偶然の宝物』

春休みが始まる少し前。
ちょうど期末テスト期間中に起きたその出来事は、
真砂にとってとても大切な事として今でも記憶されている。
その出来事とは、ある女生徒との出会いだった。

その日、真砂は図書室で運悪く出会った先生に頼まれ、資料を職員室まで運んでいた。
資料自体はそう重くはなく一人でも十分に運べる量なのだが、かなりかさばるため真砂は視界を完全に塞がれていた。
「もう、本当についてない・・・」
ぷぅっと頬を膨らませよ、たよたと廊下を歩いていく。
幸い今は放課後で、しかもテスト期間中ということもあり、生徒はほとんど学校にいない。
そのおかげで今まで誰かにぶつかるということもなくここまで来れたのだ。
「あ、あともう少し・・・」
角を曲がり、真っ直ぐ歩けば職員室というところで、真砂はとうとう誰かとぶつかってしまった。
資料がバサバサと廊下にばらまかれる。
「ご、ごめんなさい!」
真砂はぶつかった相手に大声で謝ると散らかった資料を急いで片づけ始めた。
(あ〜もうほんとついてない・・・)
半分泣きそうになりながらせっせと資料を集める真砂の前にスッと影が落ちる。
不思議に思い顔を上げると、そこには自分が落とした資料が差し出されていた。
「あ、どうもすみません」
それを素直に受け取ると改めて相手の顔を見る。
その瞬間、真砂は目の前にいる人物に釘付けになった。
少しきつ目の整った顔立ち。
透きとおるような肌に、サラサラの長い髪。
男兄弟だらけの中で育った真砂がいつも憧れ想像していた姉の姿。
その姿にぴったりとはまる女性が目の前に優しく微笑みながら立っているのだ。
真砂はしばらくぽーっとその人物に見とれてしまった。
「あの、私に何か?」
真砂の反応を不思議に思ったのか少女はそう問いかけた。
「あ、い、いえ!そういうわけじゃ・・・」
その言葉にハッと我に返った真砂は大慌てで否定すると資料を持ち、急いでその場を離れた。
(うひゃぁ〜〜絶対変な子だと思われちゃったよ〜!!)
そんなことを考えながら早足で廊下を歩いていく。
1人取り残された少女はというと、しばらくきょとんとしていたがだんだん小さくなる真砂の後ろ姿を見て小さく笑うと、
きびすを返しゆっくりと歩いていった。

2人がいなくなり、静けさを取り戻した廊下に柔らかい風が吹き込んだ。
その風に誘われ迷い込んできた2枚の桜の花びら。
風に弄ばれひらひらと舞うと、重なるように廊下へと舞い降りた。

それから数日後の新学期の朝。
桜の舞う姿が見える教室で真砂は再び彼女と出会うことになる。
これから1年間、共に過ごすクラスメートとして。


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お友達の影守十夜さんから頂いたキリ番創作でッス!
かわういーーーーーーー!!!!
思わず背景色をぴんくにしてしまったくらいです(笑)
きっと真砂は始業式前の教室で「あの人同じ歳だったのー!!?」とびっくりしてることでしょうな。
十夜ちゃんステキな贈り物有り難う!
これからもヨロシク(鬼)